中日ドラゴンズはなぜ勝てないのか?

今年もダメか・・・

今季は過去にはない変則スケジュール、CSもないということで(個人的には未だにCS制度には疑問を持っている)、与田政権1年目の昨年は投手陣の再建の兆しも見え、レギュラーの固定も成り立ち始めるなどチームもいい方向への変化があった2019年シーズンを越えたドラゴンズ、さあ今季こそ何が何でもリーグ優勝を!!とよしののようなファンも気合を入れて応援していたが、本日9/18現在、シーズンも終盤に差し掛かろうという中でリーグ優勝など夢のまた夢、早くも消化試合の感が拭えない。今日は先発の柳が阪神・大山に特大のグランドスラムを食らい、敗色濃厚である。

 

一体なぜ勝てないのか?首脳陣はもちろん、選手、スタッフ、そしてファンが頭を悩ませ、皆一様にもがき苦しんでいる。よしのも勿論のことで、本来ストレス解消のための趣味であるはずのプロ野球観戦で、大いにストレスを溜めまくる、まさに本末転倒とも言うべき有様だ。2013年から続く長い長い低迷期、よしのなりに考えたドラゴンズの勝てない原因を、素人目線ながら一応書き留めておく。

 

実は、与田監督が就任した昨季から、ドラゴンズはずっと同じような試合を続けている。つまり

①リードを守る展開なら勝つ

②追いかける展開なら負ける

この2パターンを繰り返す2年間を過ごしている。先発が試合を作り、その間に打線が頑張って点を取れればリリーフ陣が終盤までリードを守って勝てる。しかし、先発がいくら頑張ってもその間に打線がリードを奪えなければ、いいところなく惜敗…である。先発が崩れてしまえば、打線は即撤収ムードである。結果は言わなくてもよい。

2019年開幕からここまでの200試合あまり、ドラゴンズはずっとこれだ。ほんの3,4年前までは、①のパターンすら確立できず、勝った試合はすべて「不思議の勝ち」のようなものだったから、「こうなれば勝てる」という必勝パターンを作り出した与田監督の功績は計り知れない。単純に①のパターンよりも②のパターンが少しばかり多いから勝てないのだ。言ってしまえば当然、野球というのはリードしている方が有利な仕組みである。追う展開は不利だ。だからよしのは当たり前のことを言っているのだ。しかし我が中日ドラゴンズは、明らかに「追う展開に弱すぎる」のだ。昨年はシーズン折り返しあたりまで、5回以降の逆転勝利がゼロだった。夏場のハマスタで福田が奇跡のグランドスラムを打って逆転したのが最初だった記憶がある。過去の全チームにそんなデータを求めたことはないが、少なくともこれは異常な事態である。

 

ドラゴンズは点が取れない。それなりに試合を見ているドラゴンズファンは口をそろえて「点が取れないから勝てない」「本塁打が打てないから勝てない」「四球が選べないから勝てない」「得点圏で打てないから勝てない」と言う。確かにそれは正しい。事実ドラゴンズのチーム打撃成績を見れば、打率、本塁打、得点、四死球得点圏打率OPS等々、目を覆いたくなるような数字が目立つ(もっとも、昨季は打率がやたら高かったのだが)。何をすればどうなって点が取れるようになって、点が取れればどうしたら勝てるようになるのか、残念ながら素人のよしのには分りかねる。しかし、今季顕になったドラゴンズのチーム構造上の脆さを、よしのは結論づけた。

 

「競争がまるで足りない」のである。

 

前述の、①、②のパターンの繰り返しが、なぜ起こるのか。ひとつは打線の貧弱さである。追う展開になれば当然、7回以降は所謂「勝ちパターン」の、相手チームの中でもトップクラスのリリーフ投手を相手にしなければならない。勝ちパターンレベルの投手を相手にすると、ドラゴンズ打線は明らかに淡白になる。「撤収ムード」というのはここに表れているのではないか。当然試合をひっくり返せるわけもなく、為す術なく負ける。また、相手投手がエース級の投手であれば、初回から最終回まで全く手も足も出ない。ドラゴンズの投手陣が、先発救援すべてどれだけ獅子奮迅の投球を見せても、点が入らなければ勝てないのである(先日のG菅野-D大野の手に汗握る投手戦の末負けた試合が典型的である。この試合を境に、よしのは今季の優勝を半ば諦めている)。これらの傾向からしても(勿論これはよしのが日々のドラゴンズの試合を観た上での印象である、悪しからず)、ドラゴンズはあるレベル以上の投手が出てきたら全く打てないのではないか。

こう書くと、やはり点が取れないから勝てない、という風に考えられる。しかし、特に今季は投手陣にもほぼ同じことが言える。

今季のドラゴンズ打線は、週に1回あるかないか程度の稀な頻度で、「追い上げ」を見せる。大差のリードを詰めたり、点を取られても取り返そうとする(同点、逆転まで至れないという打線の弱さもあるのだが、それとこれとは別の話だ)など、気概を見せるシーンも増えてきている。しかし、10点だろうが1点だろうがビハインドはビハインド、ここで出てくる投手は、所謂「ビハインド専門」や「敗戦処理」というような、勝ちパターンからはやや信頼の落ちるリリーフ投手が出てくる。現在のドラゴンズでいうところの、谷元、又吉、木下雄介、ゴンサレス、藤嶋、あとは現在ファームの岡田…といった投手がこれにあたる。

ドラゴンズはこの投手が打たれる。勝ちパターンは現在、

7回:祖父江→8回:福→9回:R.マルティネス

というリレーが確立されており、盤石と言っていいほどの安定感を誇っている。それとは対照的に、ビハインドで出てくる投手陣はここ最近、無失点で帰ってきた方が少ないのではないか、というくらいに失点を繰り返す(強いて言えば、谷元や又吉は幾分安定した投球を見せてはいる)。これによって、先発の降板時点では僅差であったビハインドは逆転不可能なほどに広がり、試合そのものを捨てることになる。このパターンでも、中盤~終盤の逆転が一気に減るであろう。勝ちパターンの充実は言わずもがな、ビハインドで出てくる救援投手が充実することで、拾える勝ちが出てくる。1試合の勝敗が入れ替わるだけで、チームの貯金は2つ増える(=借金は2つ減る)。長いシーズンの積み重ねで、これが大きな差になることは明らかである。

 

…なるほど、では打線が打てるようになり、救援が誰も打たれなければ勝てるんだな!という結論に至るのはまだ早い。その結論はまさに正しいのだが、そうなる可能性がかなり低いことが、ドラゴンズの抱える弱さの根源なのではないだろうか、とよしのは考えている。

 

ドラゴンズの打線は、昨季の与田監督就任から殆ど固定されるようになった。レギュラーを決められた、ということはドラゴンズにとって大きな進歩であった。それが以下の打順である。

1.(8)大島

2.(9)アルモンテ/平田

3.(7)福田/アルモンテ

4.(3)ビシエド

5.(5)高橋周平

6.(4)阿部

7.(6)京田

8.(2)郡司/木下拓/加藤

中軸を打つこともあった捕手のA.マルティネスの故障等もあり、8月くらいからこの打順は殆ど変わらない。変わるとすればアルモンテ、福田、平田あたりが代わる代わる離脱し、それを埋めるように打線がマイナーチェンジする程度だ。8月には、ドラゴンズは好調になり、5カード連続の勝ち越しを決めるなど、一時は3位にまで順位を上げた。この時期は、上位~クリーンアップの調子が非常によく、ほぼすべての試合で先制していた。大島が塁に出て、アルモンテ、福田、ビシエド…と続く打線で得点をもぎ取り、ほぼ同時期に整備された強力先発陣がリードを守って勝ちに繋げる…①のパターンの勝利が非常に多かった。

しかし、「打線は水物」とは良く言ったもので、彼らもいつまでも好調が続くわけではない。ましてや今季は変則的なシーズンである。調整の難しさもあろう。上位~クリーンアップの打棒が湿り始めると、それに合わせてチームも沈み出した。序盤にリードを奪う前提の①のパターンが作れず、先発の取られた以上の点数を上げられなくなった。負けが込むと色々言いたくなるもので、好調時には本塁打を連発していた阿部も今や併殺打を打ちまくる選手になってしまい、京田などはいつまで経ってもノー感じである。阿部、京田両名はことごとくドラゴンズ不調の戦犯として、ファンから槍玉に上げられるようになった。

 

選手の不調、これは仕方ない。阿部や京田も、本来この程度の選手ではないとよしのは信じている。ここでよしのが最も言いたいこと、それは、「阿部や京田が悪いのではなく、阿部や京田に代えて出す選手がまるでいないのが最大の問題なのではないか」ということだ。これは阿部と京田だけの話ではない。今季珍しく不調が長いビシエドも、開幕から低調な平田も、怪我を押して無理をしていそうなアルモンテも…全ポジションの選手に言えることだ。

 

与田政権の大きな特徴として、「各ポジションの序列が明確であること」が挙げられるように常々感じている。1番手の選手が怪我をしたり、不調になったりすれば2番手の選手が出てくる、その次は3番手…という序列だ。代打の起用の順番や、守備固め、レギュラー故障・不調時の代役スタメン、これらの優先順位は、与田監督就任からかなり明確になった。1番手にあたる選手が所謂「レギュラー」であり、よしのは1番手と2番手以降の差があまりにも大きくなりすぎている、と感じている。

今季のドラゴンズは代打成績が異常に悪い。代打打率はなんと空前絶後の1割台だ。試しに9/16の試合でのベンチ入り選手の打率を並べる。

捕手

木下拓 .256

郡司 .170

(加藤 .161)

内野手

石垣 .125

溝脇 .176

堂上直 .120

外野手

遠藤 .194

井領 .216

武田 .107

捕手の欄に加藤を入れたのは、加藤は大学の後輩である岡野(9/16は岡野が先発した)が先発する試合で「専属捕手」のような形でスタメンを張ることが多いが、基本的にはベンチ要員だからである。スタメン機会の多い木下拓は例外としても、この惨憺たる控え選手の誰がレギュラーを奪えるだろうか?唯一、内野控えの石垣はここまでなかなか出場機会を与えてもらえずサンプルが少ない気はするが、これではレギュラーの選手が不調になった時に代わりにスタメンに入るどころの騒ぎではない。個人的に好きな選手ばかりで、こんなことを言うのは全くもって不本意であるが、他のチームならとっくの昔にファーム行きである。

ここまで見ると、「絶好調のファームから石川、根尾、岡林、渡辺勝、滝野あたりを上げて、若手を育てるモードに入れ!!」という批判も至極全うに聞こえるが、若手選手とは1軍で試合に出せば勝手に育つという性質のものではない。特に高卒で入団してまだ日の浅い選手は、シーズンを通す体力づくり等ファームでやることもたくさんあろう。若手を積極的に起用しろ!というドラゴンズファンの怨嗟の声は、特に谷繁監督の時代あたりから大きくなった気がするが、若手を使って起こる良いことは「打てなかった(打たれた、エラーした等失敗した)し、チームも負けたけど若手に経験を積ませることができた」、という風に、負けたファンの傷が若干浅いことくらいなもので、とにかく勝つことを目的に日々戦う1軍の世界で通用する理屈ではない。

 

与田監督(或いは野手全般のチーム運営を任されているという説もある伊東ヘッド)の、点の取れないチームの打順を全然動かさない采配に対して疑問の声も上がる。仕方のないことかもしれないが、残念なことに、現状の点の入る気配が全くしない打線がドラゴンズにとっての「最適解」なのだ。現場にいて選手のことを最も近くで見ている監督・コーチ陣の考えていることが、最も説得力のある最適解なのだ。チームの「理想的な形」(それこそ吾々ファンが開幕前に諸々の都合の良い皮算用をし、優勝を夢見るような)と現状の最適解の大きすぎるほどの乖離を生んでいるのは、レギュラーとそれ以外の途方もない実力差に他ならないと、よしのは考える。レギュラーを張る選手個人を非難することは、時と場を弁えてさえいれば勝手だと思うが、それは阿部に代えて誰を出すか?京田に代えて誰を出すか?平田に代えて誰を出すか?をよく自分の胸に問いかけてから為されるべきことであろう。

前述のビハインド時に出る救援も同じことだ。今更繰り返さない。

 

ここまでで言えば、単にドラゴンズは選手層が薄いから勝てない、という結論であるが、よしのが問題視しているのは「チーム内の競争意識の欠如」だ。

今季のある試合では、負けた後にベンチの中で笑っている選手がいたという。また別の試合では、試合開始前に欠伸をしていた選手がいるらしい。彼等が悪い選手だと責め立てるつもりはないが、こういった雰囲気からも、「俺は1軍の出場機会は安泰だ」という低い競争意識が垣間見える。

選手個々人は、日々より上手になろう、よりレベルアップをしようと必死である。そうでなければ、プロ野球選手になることはできないし、華やかな1軍の舞台でプレーできるわけがない。しかし、野球をやったことのないよしのでも、その立場を脅かされながら過ごす日々と、そうでない日々とでは、必死さも、過ごし方も変わってくるだろうことは想像に難くない。今季のドラゴンズで時折見られる、グラウンド上でのプレーにも、試合前後のベンチでの振る舞いにも、その必死さが今ひとつ足りないように見受けられることがある。生まれた時からドラゴンズファンであるよしのには、それがどうしても虚しく、寂しく、残念だ。何のために応援しているのか、分からなくなることもある。

今季一気に安定した先発陣は、今や押しも押されもせぬ球界を代表する左腕になった大野雄大が牽引し、それに続けとばかりに多くの投手が鎬を削る。特に福谷などは、好投を続ける中で脚にアクシデントがあり無念の降板、ベンチに下がるときには涙を流した。勿論理由はひとつではないだろうが、登板の度に最後まで投げ切る大野の姿に奮起した福谷の、マウンドを譲らないという強い心に、よしのはつられて涙した。そして、ローテ6人の中に入ろうとするローテーション候補生は、ファームで着実にアピールしている。今のローテを回す投手の誰かが炎上でもしようものなら、一気にその座を奪い取ろうと、爪を研いでいる。若手の山本、清水もそうだが、ベテランの域に突入した吉見も、例外ではない。この動きが、ドラゴンズのローテーションをどんどんとレベルアップさせているのではないだろうか。これが救援陣に、そして野手陣にまで波及すれば、ドラゴンズの全ての選手が、そのポテンシャルを最大限発揮できよう。常に、先発ローテーションは6人、勝ちパターンは多くて3人、野手のスタメンは8人、ベンチ入りは25人だ。

よしのが不本意ながらまた槍玉に上げてしまった、阿部、京田の2選手は、未だ.230付近の打率でもがき苦しんでいる。ビシエドも、過去には例のない不調が続いている。しかし阿部、京田の二遊間は、12球団でもトップクラスの守備を誇る。ビシエドは、過去の素晴らしい実績もあるし、守備もここにきて目覚ましく良くなっている。ここに、「いくら守備がよくても打てなければ」「いくら率を残せても本塁打が出なければ」そういって彼らの立場を脅かし、レギュラーを張っている選手を突き上げてほしい。レギュラー陣には、下からの突き上げに負けないよう、石にかじりついてでも結果を残してほしい。今はもがき苦しむ時期かもしれないが、よしのは何があっても、絶対に苦しむ選手の味方であることをここに誓おう。