川上憲伸:よしの的中日ドラゴンズ名選手列伝

今日は妹と野球を観た。TVでドラゴンズとにっくき読売巨人軍との試合がやっていた。

来年は広島あたりにドラゴンズ戦を観に行きたいという話をしたので、どうしても誰かに言いたい話を思い出してしまった。

 

日本の西の果ての生まれなので、ドラゴンズを応援しに行くといえば福岡ドームか広島球場がせいぜいだった。親父は夏休みのわずかな時間を使って、当時小学生のよしのを今は亡き広島市民球場に連れて行ってくれていた。

広島市民球場は異常にフェンスが低い。ビジターの球団の練習は開門後に行われるので、よしのが球場に着いたときにはドラゴンズの選手が練習をしていた。

よしのはその様子をフェンスにしがみついて見ていた。いっつも応援している選手たちが目の前にいるので、興奮するより先に呆気にとられていた。その時目に止まったのが、バランスボールに乗っている川上憲伸その人だ。

川上憲伸と言えば、よしのが野球を見始めた頃からのドラゴンズのスーパーエース、マウンド上での強気の投球、抑えて帰ってくるときのあのガッツポーズがたまらなくカッコいい、ものすごいピッチャーだった。

サインが欲しい、握手がしたい。

と反射で思った。しかし、ドラゴンズのエースが目の前にいるという状況にものすごく緊張していたので、何も言えずただただバランスボールに跳ねている川上のことを固唾を飲んで見守ることしかできなかった。

 

どのくらい釘付けになっていたかはよく覚えていないが、よしののところにボールが飛んできた。それは打撃練習の柵越えのような強烈なボールじゃなかった。川上の隣にいたトレーナーの人が、「CD」のロゴの入った練習ボールを、よしのにプレゼントしてくれたのだった。

トレーナーのおじさんは、川上の肩をトントン、と2回叩いた。と思うとよしのの方をちょこっと指差した。

え、憲伸が来る・・・

彼はフェンスの金網の間から人差し指と中指を差し出してくれた。目の回るような感覚と一緒によしのも小さな右手を差し出した。一瞬だけ、ドラゴンズのエース、川上憲伸に触れることができた。この後よしのが手を洗うのは2ヶ月後のことである。

と、「ドラゴンズファンの少年が川上憲伸と握手をすることができた」という"だけ"の大したことのない話だが、地元ではプロ野球の試合などほとんど開催されず、年に1試合か2試合だけ片道6~7時間(親父はなぜか高速を使わずに広島まで運転していた)くらいかけて行かなければドラゴンズを生で見ることのできない熱狂的竜党の少年は飛び上がって喜んだ。帰ってから川上憲伸と、ボールを投げ入れてくれたトレーナーの亀卦川さんという方に、人生で初めてファンレターを送った(手紙が本人に届いたかは杳として知れない。亀卦川さんは現在トレーニング事務の経営者である)。

その後、ドラゴンズのエースは海を渡り、メジャーリーガーとなった。イチロー、松井の陰に隠れ、日本でアトランタ・ブレーブスの試合を見ることは殆どなかった。しかし、世界で一番好きなピッチャーのことを片時も忘れることはなかった。

 

川上はドラゴンズに復帰し、開幕投手を務めたのち特にセレモニーを行うこともなく引退した。今も時々スポーツニュースや解説として見ることもあるが、往時の「カッコいいエース」の面影は殆どなくただの「おもしろおじさん」になっているのがいささか残念ではある。

よしのといえば相変わらずドラゴンズ一筋だ。奇跡の逆転CSに向け勝ち続けてくれることを信じている。川上の大学の後輩にあたる柳裕也も、今年は2ケタ勝利を達成し、エースへの道を歩み始めた。彼のピッチングを、よしのは熱狂的竜党の少年に戻って見ている。

 

riverside yoshinoのライブ

10/1

10/13

10/29

ドラゴンズのエースにはどうやってもなれませんが、ライブの日は最高のロックンローラーになれていると、よしのはこのように自負しています。観に来い!!