確かにBossのE Street Bandは、ギターがサウンドの中心にいるタイプのバンドではないと思う。Phil Spectorのwall of soundがBossの好みということもあり、割と鍵盤やホーンがしっかり入っている。そのうえギタリストにはBossの相棒、というか舎弟のSteve Van Zandtがおり、そこに激渋サムピッカーNils Lofgrenまでいる。最近(といってもアルバムWrecking Ballは10年以上前の作品だ)ではそこにTom Morelloまで加わるわけなので、あくまでリードシンガーであるBossのギタリストとしての比重はあんまり重たくはないことが想像できる。 しかし、一部の曲でソロをとるとはいえBossのギタリストとしての本職はあくまでリズムギターだろう。そういった側面で印象的なプレイは全然思いつかない。
先に挙げたようなギタリストは、ロック史に残る名演をそのギターで生み出してきたからこそ、愛機であるギターとセットで記憶されるようになったはずだが、Bossに関してはそうではない。さっきのProve It All Nightが名演、名曲であることは疑いようのない事実だが、Bossの代表曲に挙げる人は多くないだろう。あれはBorn To Runのジャケットになったギターなのだ。よしのはRamonesの革ジャン!とかマーシーのバンダナ!とかと同じ括りなんだと思っている。ギターだってファッションの一部だ。