『発破』vol. 1



 半年前に沙摩柯というバンドができた。

 バンド名の話をしたとき、我らがドラマーモーリーは漢字の名前を推してきた。地元で有名だった暴走族のチームの名前を出したりしてくれた。そういえばよしのは漢字の名前のバンドをあまり知らなかった。

 二人とも三国志が好きなので、最終的には英雄たちが次々と命を落とし混迷の世に差し掛かる時代に、甘寧を討ち取る場面でだけ出てくる謎の蛮族の名前を拝借することになった(ちなみに時点の候補で「於夫羅」というのもあった)。

 そもそもバンド名が知っている個人の名前なので不思議な感覚があったが、ようやく最近このバンド名も馴染みつつある。よかったよかった。

 

 基本的によしのはその気にならなければ何もできないので、その気にならないことが多すぎる浮世では地獄のような暮らしをしている。従ってよしのにとっては身近な「その氣になること」の有無が大きなカギである。

 幸いよしのにはそれが皆無なわけではないのでどうにかこうにかなっている。否、客観的にはどうにもなっていないのかもしれない。よしのの夢は、毎朝起きたら「その氣」になっていることだ。

 

 沙摩柯というバンドをやっていると、よしのも日常的に「その氣」になれる可能性が出てきたのではないかと思う。我らがパワードラマー、モーリーのおかげだと思う。まだ見ぬ人がよしのを待つ。

 

 よしのが、沙摩柯が、そしてみんなが「その氣」になる端緒になる、であろう日がそろそろやってくる。吾々の日常的な「その氣」の門出を祝おう。

 


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