ドラゴンズが残りの5試合でするべきこと

今週のドラゴンズは、情けなかった。

先週までは、7連勝→1敗→4連勝と好調で2位をキープしていたチームが、今週はまるで別のチームを見ているように弱かった。一つも勝つことができず6連敗である。順位は3位に落ち、いつの間にか4位の横浜と0.5ゲーム差まで迫られている。貯金を増やすことは大変だが、借金をこさえるのはいつもあっという間である。

 

今季は残り5試合だ。横浜1カード(ナゴヤドーム)とヤクルト1試合’(ナゴヤドーム)、最終戦は中止の振り替えになっている広島1試合(マツダ)で、この妙なシーズンの闘いは終わる。

 

6連敗のドラゴンズには、いいところが(アリエルの無事と京田、阿部の復調を除き)一切なかった。連敗の起点となった阪神(甲子園)戦のカード初戦、終盤まで息の詰まる投手戦であったものの、絶対的セットアッパー福の2つのエラー、打球の目測を誤った滝野のプロ初スタメン試合での落球が響き勝ち越しを許すと、そのまま押し切られた。勿論、ここまでチームの勝ちに最も貢献してきたと言っても過言ではない福の、一つのミスを責めることも、まだまだ経験も浅くこれからの飛躍を待つ選手である滝野の落球を責めることもない。連敗はここから始まったのではなく、落球した直後、ボールインプレー中にがっくりと項垂れた福の姿に始まったと感じている。

次の試合ではビシエドが怪我で離脱した。精神的支柱を失ったドラゴンズ打線は西勇輝の前に黙り込んだ。名古屋に帰ってきても、ビハインドで出てくる救援陣が揃いも揃って炎上し、福田はデジャブのような怪我を負い、新人王候補森下の前にまたしても打線はきりきり舞いだった。

 

今季のドラゴンズにとって、今が最大のピンチであることは疑いようがない。しかし、シーズンは残り5試合である。泣いても笑っても。ファンも含め、ドラゴンズを形作っている人々は皆、「今年こそはAクラス」という「自信」が、勝ち続けるうちに「慢心」に変わっていなかったかを自問し、反省せねばならない。勢いのままに勝てるうちはいいが、自信が先走りすぎたところに、ドラゴンズの急所がある。それを、よしのも含めて学び取ることができていなかったからこその6連敗であった。

しかし、反省はシーズンオフにでもゆっくりすればいい。選手や首脳陣はとにかく目の前の試合で勝つための最善の努力をしてほしい。離脱者がここにきて増え、選手の疲れも明らかになってきた今、チーム全員が勝ち方を知らない(「忘れた」のではなく)。控え捕手を毎日使い切る采配も、ここまでは見られなかったことだ。火曜からの横浜3連戦は、Aクラス入りの運命を分ける文字通りの「天王山」だが、そんな皮算用はどうでもよい。とにかく主砲も守護神も頼れるナイスガイも欠いた今のドラゴンズが何をすれば勝てるか、全員野球で答えを出してくれ。連敗が止まれば間違いなくこのチームは変わる。120試合のうちの5試合は僅かなように感じるが、ここまで闘ってきたドラゴンズが一回りも二回りもパワーアップするには十分な時間だ。

 

選手や首脳陣、チームスタッフがドラゴンズの中核だが、吾々ドラゴンズファンもまた、チームを構成する大事な大事なピースだ。前述の甲子園の悪夢の後、福や滝野、首脳陣に叱咤をはるかに逸脱した「罵声」を送る自称ファンがいたことに、よしのは心を痛めている。一部のドラゴンズファンは、チームが逆境に立たされているときに洒落では済まされないほどの心無い言葉を浴びせることがある。

ファンがこれでは、強くなる可能性を持ったチームも一生負け犬のままだろう。

正直よしのも、自分のことを模範的なファンだとは毛頭思わないし、ファンのあるべき姿について講釈を垂れることが許されるほど立派な男ではない。しかし、選手は極限のプレッシャーの中で、文字通り生きるか死ぬかの厳しい戦いの中で、時に躍動し、時にもがき苦しんでいる。彼らの今置かれている状況、心境は、吾々ファンには想像することすらかなわないほどのものであろう。

その中で、例えばミスをした選手や、結果が出ない選手に対して罵声を飛ばすことはよしのにはできない。彼らの力を信じ、球場でもそれ以外の場所でも、声を上げ、そうでなくとも強く祈ることが、ドラゴンズが勝つために吾々ができることの全てだと、よしのは強く思う。残りの5試合、よしのは無力かもしれないが、この祈りが選手に届き、この逆境を跳ね返してくれるであろうことを信じている。

 

ドラゴンズに今一番必要なものは、長距離砲でも分厚い選手層でもなく、吾々ファンの祈りだと、綺麗事ではなくそう思う。ファンに、少なくともよしのにとって、残りの試合は楽しむものではなく、選手と共に闘うための場所だ。